ハウジングコーチ、ハウジングストーリーを活用した理想の家づくり

『家づくりの目的を考える vol.1 ~自分らしさ~』

『家づくりの目的を考える vol.1 ~自分らしさ~』

「家づくりの目的」を考えるシリーズの第1弾は、

「自分らしさ」について

これから9つの項目で書いていこうと思っている「目的」シリーズなのですが、正直言って家をつくる目的って実はそんなに多くないのではないかと思っています。
新築であっても、リフォームやリノベーションであっても、突き詰めて考えれば、
「自分らしさ」って何だろう?
という問いに行き着き、その答え(らしきもの)を何とか得て実現しようとするのが究極の目的ではないでしょうか。

「ああ、これが私が本当に求めていた暮らしなんだ」

と実感できる空間を確保できるかどうか。
これがほぼすべてと言ってもいいくらいです。
なので今回以降の内容も、少し見方を変えれば「自分らしさ」の話に集約されます。
「家づくりの目的」とは、本当は非常にシンプルなものなのです。

様々な住宅建設会社やメーカーが、時代に合わせたコンセプトを商品住宅のキャッチコピーに掲げながら「その時代らしさ」を背景に「あなたらしいでしょ」と呼びかけてきます。でも、そう簡単に共感しないでいただきたい。
というのが個人的な願いです。

その最たるものが「マンションポエム」というものでしょう。
ご存知ですか?マンションポエムって・・・。

新築マンションの広告チラシやパンフレットにじっくり目を通されたことがある方なら、一度は目にしたことがあると思います。多くの場合、その物件の魅力や特徴を語るために短いキャッチコピーが書かれています。
「マンションポエム」という正式名称があるわけでなないのですが、コンセプトというよりも、何か独特な「ゾーン」に入っちゃってる感があるので、このように呼ばれたりしています。
傾向として、これが高額物件になればなるほど「ポエム度」が増していきます(笑)。
結構笑ってしまうレベルのものもあるので、いくつか紹介しましょう。

『大木を見上げるとき、並木をくぐるとき、不思議だね、心が静かになっていく』

『ナチュラルを、もっと、エレガントに。エレガントを、もっとナチュラルに。創りたかったのは、NaturalとElegantの間にある邸宅』

『天空に舞い踊る星々のトレモロ。人々の営みを物語る地上に散りばめられた灯火のロマネスク。あるいは、早朝のまどろみから朝日に洗われつつ姿を現す都会のエクリチュール』

こんな感じです(笑)。
でもこれを読んで「わ~素敵!私たちが求めているものかもしれない!!」と共感してしまう層が一定以上の割合でいるっていう事でしょうね。各社競うようにしてこのような「ポエム作り」に勤しんでいるわけですから・・・。

困ったもんです。。。

実を言うと、僕もこのようなマンションのプロジェクトに時々関わらせていただいているので、あまり偉そうなことも言える立場ではないのですが、誤解してもらいたくないのは、このようなキャッチコピー作りに、建築家やデザイナーは一切関わっていない、ということです。
すべて、ディベロッパーの販売部と広告代理店のコピーライターが作成しています。
今まで、「こんなキャッチコピーでいこうと思うのですが、どうですか?」なんて設計段階で相談された経験はないですねぇ。
更に言ってしまえば、最近のデザイナーズマンションと呼ばれるようなプロジェクトの、デザインの方針を決めているのは、建築家ではなく広告代理店である場合が多いのです。
もちろん、基本方針の作成段階でイニシャチブをとるのは、建築家ですが。
いよいよ路線の決定段階となったとき、我々が街並みとの調和や歴史性、味わい深い素材感などと提案しても、それらはすべて「それ、売れるの?」というひとつの評価基準だけで判断されてしまうのが実情です。(悲しいですけど・・)
そのような結果として、現在都市部で見られるマンション群が立ち並ぶ景観ができている訳ですが、これを良好なものと感じるか、そうではないと感じるか・・・。

この話題は、このくらいで止めておきます。

伝えたいことは、このような「言葉の職人」のような人が机上で作った住まいのコンセプトには、決して「自分らしさ」など表現されてない!ということ。
「自分らしい」といえる居場所、すなわち「家」とは、毎日の生活に充実感を感じることができたり、ここで時間を過ごすことによって「自分を整える」ことができたり、決して清廉潔白なだけの自分ではない、時にはだらしなく、後ろ向きになったり消極的になったり、愚痴を言ってしまうような「いくつもの自分」と向き合うことができる包容力のある場所ではないか、と思っています。
自分は自分のことを本当は掴みきってない、でも、だから人生楽しい。
掴みきってはなくても「自分を信じることができる状況をつくれる場所」
それが「家」なのです。
僕はそう信じています。

そんな大切な家なのに、他人のつくったコンセプトに簡単に共感しないでほしい・・・

先ほど書いたことの意味は、そういうことなのです。

最後に、「自分らしさ」をクライアント自らが気付き、自分の言葉で家づくりのコンセプトを語るための自己深堀りセッション:「ハウジングコーチ」で出していただいた言葉をひとつ紹介します。

『この場所に戻ってくれば、自分らしさや素直な気持ちになれる家』

第三者が読んでみても、漠然としていて明確さに欠ける印象があるかもしれませんが、ご本人にとっては、深く納得感のあるコンセプトに出会えた瞬間でした。
ぜひ、「マンションポエム」と読み比べてみてください(笑)。



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